はじめに
クーの助手で最近ブログを書く楽しさが少しだけ分かってきた「井戸中 聖」(いとなか あきら)でございます。
実質、天使の歌声の研究(その2)に相当します。
データのセーブミスでデータがなくなったため、(その1)で作成したサンプルのさらなる調整をいったん置いておきます。初音ミク 英語 / ENGLISH版の情報収集をしようとgoogle先生に聞いたら、登録したばかりの天使の歌声の研究(その1)がトップページにあって驚きました。英語版にチャレンジする人はすくないのかな?確かに英語の作詞とそれに曲をのせる(もしくは逆)は日本人にとっては難しいとは思います。V3はともかくV4の情報も少ないのは何故?V4めっちゃ可愛いじゃん(あれ?)
今回も(その1)に続いて初音ミク 英語 / ENGLIS の試用版です。
お試し版・体験版なのでV3版の記事ですが、基本的なところはV4版でも同じ「はず」です。
PPAP! = Please let me Produce Angel's-Phonic ! project
研究の概要
(初音ミク英語版の)最初からの基本的な操作をまとめます。
2週間お試ししたあと、必ずきっぱり忘れる自信があるので、将来のために基本的な記録します。
研究の目的
初音ミクの付属エディタの操作を記録し、もしも1年後くらいに「買ったとき」思い出すためです。
(その1)のサンプル曲の最初の方のフレーズを例にとってミクに歌ってもらいます。
操作しながらそのときの音声を貼ってみます。
サンプル曲としてはもっとも適さない(ポピュラーの対極、音域、その他)曲だとは承知の上で進みます。好きなものはしょうがないのです。
確認環境
- Windows 7 32Bit(今回用に仮想環境を作成)
- SONAR X1 LE (Roland QUAD-CAPTURE 付属品)
- SampleTank 2 Free(クリック音用音源やその1で使用した音源)
- Roland QUAD-CAPTURE (USB オーディオインターフェース)
入力操作(気分だけボカロPしてみます)
なりゆきでSONAR使ってますが、DTMソフトは落ちなければなんでもいいです。(曲をいれるのは5年ぶり=QUAD-CAPTUREかったときすこしやったくらい:なので慣れていません。)
今からだとStudio Oneがいいのかなぁ。Studio Oneをいれなかったのは32Bit環境用のフリー音源しかないからでした。結局SONARが(64Bit Windows10で)おちまくるので32Bit Windows7のVMインストールをすることになりました。
以下、入力方法について順を追ってみていきます。
はじめまして!今日はこの歌を歌ってもらうよ!
(1)SONAR X1 LE(VSTiがつかえるDTMソフトならなんでもOK)を起動し新規プロジェクトで、「SampleTank 2」(クリック音用)と「Piapro Studio VSTi」(ミク用)をトラックに挿入します。
変拍子のある曲だけど、拍子を聞く人に意識させないように自然に歌ってね。
(2)曲を入れる前にテンポ・拍子を設定する。今回の曲は変拍子なので、あらかじめ正しく入力しておく。(例では最初の方だけ設定:ただし最初の1小節はクリック音用)この作業が最も重要。既存曲の耳コピーするときもまずはここからです。 (私の好きな曲はおおむね変態的な変拍子です)
1小節目:4/4 (開始クリック音用)、2~4小節目:6/4、5小節目:2/4、6~8小節目:6/4、9小節目:2/4、10~13小節目:6/4・・・
のように入れていきます。サンプルでは最初のほうだけやりますが、実際の曲ではこまめに全部入力します。
この拍子情報はミクのエディタ(Piapro Studio)で取り込むためMidi出力してファイル保存します。((こまかい変化含む)テンポ情報も設定してあればあわせて保存されます。実際(その1)では実曲にあわせて細かくテンポチェンジしました。)
保存したらPiapro Studio を DTM内のアイコンをクリックして起動します。
まずはテンポをちゃんととろう!歌うときはベースの音をよく聞いてね。
(3)一時的に保存したテンポ・拍子情報をPiapro Studio 側に取り込みます。
取り込みました。
じゃぁ1回、ラララで軽く歌って感じをつかもうか。
(4)歌声を入力していきます。
入力するとすぐに Piapro Studioのエディタ側で聞けます。(歌声のみ確認です)
Piapro Studio側の情報は Piapro Studioの[ファイル] / [書き出し]でこまめに保存していきましょう。(別名で保存していったほうがきっと幸せです)
ホストのDTM側からPlayすると他の演奏+いま入力した歌声が確認できます。
入る前にクリック音を鳴らすからタイミングよく入って。
(5)最初のうちからオーディオに出力することを考えておきましょう
オーディオ出力する前に、音の前後にクリック音を入力し、必要な範囲が確実にファイル出力できるようにします。(前後の微小な無音時間を確保します)
例ではSampletank Free版のパーカッションを使用します。
一回どんな感じか、自分できいてみてもらおうかな。じゃぁ。。。
(6)オーディオ出力してみます(随時実行)
[ファイル(F)]メニュー / [エクスポート] / [オーディオ]でエクスポート画面を出して出力します。
準備できたから、こっちにきて聞いてみよう。えっ?...う、うん。なかなか悪くないよ。
(7)ここまでの音を聞いてみましょう
全部、間の抜けた「La La La」音声です。
歌詞をいれてうたってみようか。へ~、英語ペラペラなんだ、すごね~。
(8)次に歌詞を入力します。
歌詞はピアノロールの帯部分をダブルクリックすれば小窓が表示され入力できます
聞いてみましょう
デフォルトではいろいろ調整が必要なので順次おこなっていきます(順不同・お好みで)
あ、歌が大好きなんだ。今度はビブラートはちょっと抑えて歌ってみて!
(9)ビブラートの調整をします
ビブラートの種類はいろいろあるので、歌わせてみて好みのを選びます。
選びなおすとビブラートに関するパラメータがデフォルトに戻るので注意が必要です。
ピアノロールの帯で右クリックして「ビブラートの設定」を呼び出します。デフォルトだと深すぎるので、浅くかけて自然な感じにします。
ループで聴きながら調整すると便利です
聞いてみましょう。
もうすこしメリハリがほしいな。歌の発音はちょっと独特なところがあるよ。
(10)発音を調整してみます
基本的な形はできたので、こまかい部分をお好みで調整していきます。
発音のおかしなところ、気になるところをなおします。ここが結構たいへんです。
発音タイミングや子音、母音の強さ、アクセントなどを調整していきます。
in a(いん あ) の部分が不自然なので i na(いな)にかえたりします。
I だけにすると「あい」になってしまうので e などといれてみます。
na は [n Q]になってしまったので、[n V]に強制的にかえます
強制的にかえると赤くなりますが、気にしません。
歌わせる前にどうしても正しいそれなりの発音にすることは最低限必要な感じがします。もしかしたらこの部分が最もノウハウ蓄積が可能な部分かもしれません。
もうすこし気持ちをのせていこうか。風景を想像して歌ってごらん。
(11)ダイナミック(DYN:Dynamic)の調整
強弱をつけるととてもメリハリがでます。
強弱なので、ベロシティかとおもいきや、ベロシティは子音用なので、Dynamicで行うようです。ループの設定をしてききながら調整していきます。
ループの開始は音の「少し前」をえらばないと発声してくれません。
そう、そこはもう少し流れる感じで。肩の力をもっと抜いて。
(12)歌唱スタイルの調整
snowing の ing 部分は自動的にベンドしている感じですがもう少しポルタメント的なベンドにしてみます。ingのほうの音を調整します。(結構自然な感じで調整してくれます)一語なので流れるような感じにしたいのです。
あとからでてくる本当の「ポルタメント」は強くかけると人工的になるので、こちらで調整できるものなら済ませるほうがいいです。
もうすこしリズムを大切にやさしく歌おう。
(13)発声タイミングの微調整
ベンドを強めにかけるとタイミングのもっさり感がでてきたので、少しだけ音を前倒しにしてみます。
1/16 分音符程度ずらしてもいけそうなので格子の解像度を1/16に変更してから調整します。
聞いてみます。
なかなか良くなってきた。雪の感じや寒さに心が洗われる感じで。
(14)BRE:Breathiness「息っぽさ」だとかいてあってとっても期待したのだけど、ちょっとかけただけでもひどい声になったのでつかいませんでした。音域や他のパラメータとの関連もあるかもです。今回パスです。
そう。でも、前半はまだ悩み事がある感じをもったまま。
(15)BRI:Brightness「きらびやかさ」の調整をします。
いい感じに明るくしてくれます。メリハリがきいた感じになります。ループで聞きながら調整します。
ここまででこんな感じです。
もっと、イギリスの空気の透明感を表現しよう!
(16)CLE:Clearness 「クリア感」を調整します。
こちらのほうがむしろ「息っぽさ」の調整の感じがします。値を上げるとハスキーな感じになりますが、不自然さも増していきます。不自然さを覚悟で思い切って値を上げてみました。
いいよ。口やノドは大きく開けて歌えてるけど、少しメリハリをつけようか。
(17)OPE:Opening 「口のあけかた」標準は127全開のようです。
少しこもった感じにしたい部分、冠詞やisを64にしてみました。
バランスがとれて全体として少しだけ自然な感じになりました。(エフェクトノイズは違和感ありまくりですが。。。)
じゃあ、私の好みでもう少しアニメっぽく歌って。あ そんなに、にらまないで!
(18)GEN:Gender Factor「歌声のフォルマント構造」を変えるようです。
あまり極端だとすごく不自然になりますが、一定の範囲では性別というよりは年齢をかえられる感じです。アニメチックにしてしまいました。
いいよ、すごくよくなってきた。雪が風に流れる感じをもっと出そう。
(19)POR:Portamento Timing[ポルタメントのタイミング]を調整します。
ing の部分をもうすこしだけなめらかにポルタメントします。
ピッチベンドは今回不要なので、パスします。(ピッチベンドのセンシティビティも同様にパス)
これでパラメータを一巡しましたので、聞いてみます。
いい歌が録れたよ。えっ?...ああ。...CDがでるかはアニメのプロモーション次第だから。...いやぁ、実写のPVはあなた無理でしょ。......あ、泣かないで!(汗)
感想
まだ、「いい感じ」には程遠いです。(18)のフォルマントはやりすぎた(サウンドA007)ので、(17)まで(サウンドA006)のほうがまともですね。いいと思ってやったけど改悪になるのはよくあることですw。
少し大げさに調整しているので、とっても不自然ですが、これを自然な感じで、自分の好みにしていく試行錯誤になるのかなと思います。
あと、パラメータをかえると画像でいうところの「ブロックノイズ」みたいな量子化ノイズがとてもきになり、自然な感じからはほどとおいです。
この部分がいたしかたないとはいえ、とても気になります。
「初音ミク」のファーストタッチの感触としては、
機能的には末尾子音の調整機構、子音の個別ベロシティ、シャウト系の機能、
うなり系、がなり系の機能あればなぁ。(V4にはグロール機能とかあるようですが)
と感じました。このあたりの不満足点を、どう既存の機能をつかって補っていくか、がノウハウになるのかなぁ。と感じました。
また、先にくる子音によって自動的に母音が明るい音になったり暗い音になったりするのは、逆にとても扱いにくい感じでした。(Loveの母音は何故にあんなに暗いこもった母音になるのかなぁ。。。)
操作性は初心者の私でも非常にうまく操作できたので、とてもよいと思います。
本編と関係ないですが、6/4 の前に4/4の導入拍子をいれてますが、とても違和感があります。導入も6/4拍子にすべきでした。
なお、V4版の発音がとてもよくなっている!という噂がありますので、とても気になります。
とても充実したクリスマス・イブでした
がんばってこのブロクを書いていました。ここ最近では一番の充実した1日でした。
(追記)残念ながら(その1)はこの記事とコンフリクト(競合)したようで、両方とも検索は圏外となりました。 ペンギンさんよろしくお願いしますよ!
(かなり後に追記)
このページをよく参照いただけるようですが、サンプルがマニアックすぎるので、もうすこし普通の英語の歌(アカペラ)を貼ります。
ほぼ同じ時期につくってみたものです(お試し版V3です)。母音の発音の正しさと連続音の発声タイミング、子音の処理(そのままだと大きすぎる)がポイントだと思いました。下の例ではかなり調整してはいるのですが、まだまだ子音が強すぎますね。声質はどちらかというとリアルに寄せる派なので、少数派になると思います。