クーの自由研究

マスターのかえるのクーは、弟子達の召喚術により新たな依り代を得てⅡ世として復活しました。

決戦! 12cm PWM 静音ファン 頂上対決

12cm PWM ファンでよさげなのはどれ?

営業を再開しました。部屋中12cmファンだらけになっている、かえるのクーの助手の「井戸中 聖」(いとなか あきら)です。

8cmファンの比較実験でnoctuaをおさえて、ARCTICのファンが勝利してしまったため、noctua教徒から「12cmなら絶対負けない」と比較実験のリクエストがありました。

(その発言、きっとなにかのフラグ立ってますから。)

そんなファンをたくさん買う「資金はない」と一旦はお断りしたのですが、準備してもらうことになっていました。昨日、2か月かかって中国からようやく最後のファンが到着しました。例によってAMAZONの箱がぐしゃぐしゃです(中身は大丈夫だけど)。どう輸送したらこうなるものか。。。いつも不思議に思います。

さて今回のラインナップです。ごらんのようにひかり物「きらきら系」や薄型は含まれません。

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単純にnoctua社とARCTIC社製品の比較のつもりでしたが、ついでに人気商品もすこしだけ比較することになりました。(手持ちのENRMAX社の12cmファンも比較しようとしましたが、軸鳴りが発生しはじめているので、あきらめました。)

今回も頑張って、クーします。前回と同様に、風量と静音性の総合評価をします。なお、前回8cmでの比較で、メーカ測定値(パッケージ表記値)はかなり「あてにならない」ことが発覚しております。同一メーカ製品でも、メーカ表記数値と実測値が逆転していることもしばしばです。ノイズ測定は正確に規格がきめられていてそれほどはぶれませんが、風量は???と思うほど「てきとー」です。まぁ、測定条件をあわせるのが難しいんでしょうが。。。

基本性能の比較

はみでるのはご容赦

画像

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メーカ noctua noctua noctua ARCTIC ARCTIC GELID SCYTHE
型番(製品名) NF-A12x25 NF-S12A NF-P12 F12 PWM P12 PWM Silent12 KazeFlex
120

おおよその

お値段(Yen)

3,600 2,500

1,800-

2,600

900

1,000-

2,000

1,100 1,000
電源(A) 0.14 0.12 0.05 0.12 0.08 0.18 0.13

回転数範囲

(RPM)

-

2,000

-

1,200

-

1300

230-

1,350

200-

1,800

750-

1,500

300-

1,200

最大風量

(CFM)

60.1 63.2 54.3 53 56.3 58 51.17

最大実測風量

(概算CFM)

64.2 28.9 27.3 53 48.2 59.7 32.1

ケーブル長

(cm)

20.0

+30.0

+10.0

20.0

+30.0

+10.0

20.0

+30.0

+10.0

37.5 38.8 50.0 47.5
騒音(メーカ) 22.6dB 17.8dB 19.8dB N/A N/A 25.5dB 24.9dB

騒音(実測)

@1200rpm

17.8dB 23.4dB 20.6dB 29.1dB 22.6dB 22.1dB 18.3dB

振動(実測)

@1200rpm

26.6dB 32.9dB 39.3dB 35.4dB 29.6dB 36.0dB 32.9dB
付属品

ネジ

ゴム

ブッシュ

延長

Cable

(2種)

フレーム

全ゴム枠

ネジ

ゴム

ブッシュ

延長

Cable

(2種)

ネジ

ゴム

ブッシュ

延長

Cable

(2種)

ネジ ネジ

ゴム

ブッシュ

-

実測結果について

8cmファンとほぼ同様に、風量と騒音について実測測定しました。

前回はマイク性能の悪さを痛感したので、前から欲しかった(いつか買おうと思っていた)コンデンサーマイクを買いました。耳ではほぼ聞こえない秒針や、遠くの犬の鳴き声や電車・車の喧騒をひろう高性能に驚きです。

風量測定について

前回と同様に軽く回る12cmファンを「吸気側」に密着させ、その回転による発生電圧により風量を換算する方法にて簡易測定しました。*1絶対的な風量は誤差があると思いますが、相対的な風量性能は十分比較できる方法だと思います。

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低い回転数で風量を発生させるタイプと、広い回転数の幅で広い範囲の風量をコントロールするタイプに大別できる感じです。

風量の効率ではARCTIC F12 PWMが特出しています。noctua NF-12x25は風量の広い範囲をカバーできる製品であることがわかります。

騒音測定について

これも前回同様に騒音測定と振動測定をします。

f:id:np2LKoo:20200531013157p:plain(←こちらは騒音測定)

振動測定は紙箱の上にファンをそのままのせ、マイクを直接箱に接触させて測定しています。(規格外の測定ですが、振動音をそれなりに拾えます)

 

しつこいですが共通事項:発生する音について

・すべての製品が測定可能な1,200rpmで比較しました。1分間に1,200回転するので、1200rpm/60sec=20.0Hzの回転基音が発生します。基音の2倍、3倍...の音も発生します。

・モータは4か所停止しやすい場所があるので、20.0×4=80.0Hzのモータ音が発生します。また、この2倍音の160.0Hzの音も比較的発生します。

・羽の数× 20.0Hzの風切り音が発生します。7枚羽なら7×20.0Hzで140Hzの音がします。

・これ以外の音が大きく発生する製品は、つくりがよいとはいえない傾向にあります。

各製品の騒音値・振動値と周波数特性

回転基音は緑、その2倍音は

モータ基音は赤、その2倍音は

風切り基音は青、その2倍音は にてマークしました。

それ以外のいちばん大きな音は◆マークしました。主に共振の音です。デシベルは各マーク周波数のベース音(環境音)との差のデシベルの平均値を採用しました。

各ファンの回転制御についても貼っておきます。これはマザーボードのファン制御ユーティリティで測定しました。

製品 音解析(NOISE) 音解析(振動) 回転制御

noctua

NF-A12x25

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17.8dB

f:id:AssistantOfKoo:20200606134357p:plain

26.6dB

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noctua

NF-S12A

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23.4dB

f:id:AssistantOfKoo:20200606135609p:plain

32.9dB

f:id:np2LKoo:20200531154808p:plain

noctua

NF-P12

f:id:AssistantOfKoo:20200606135756p:plain

20.6dB

共振音:320Hz

f:id:AssistantOfKoo:20200606135810p:plain

39.3dB

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ARCTIC

F12 PWM

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29.1dB

共振音:320Hz

数字ほどうるさくない。

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35.4dB

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ARCTIC

P12 PWM

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22.6dB

共振音:400Hzがとても
耳につく。

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29.6dB

 

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GELID

Silent12

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22.1dB

数字以上にうるさいです。

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36.0dB

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なんだこりゃ?

SCYTHE

KazeFlex 120

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18.3dB

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32.9dB

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わ~。これではわからない。。。五月蠅さは、数字ではないです。だいたいの形(グラム面積)ではなく、あくまで「ピーク」に注目すべきグラフです。

それぞれの製品へのコメント

録音した音をそのままデシベル調整(録音後の増幅)せずに貼りました。音はすべて1200回転での音を録音したものです。同じ風量の条件で測ったものではありませんのでご注意ください。前回8cmファン測定のときよりマイクを高性能なものにかえており、いろんな生活音を拾いまくっています。最初の4秒がファンから15cm離れた音、次の4秒が無音(ベース環境音)、次の4秒が振動音(紙箱の上にファンを直接乗せ、箱に直接マイクをつけて測定(ファンとの距離は15cm))です。感じる音の大きさはデシベル値とかなり違うことがわかります。

noctua NF-12x25

 

大人気だけあって非常に静かな製品です。ただ、回転数に対し風量が少ないためずっと低回転で運用するには適しません。普段は静音でここぞというときに高回転で冷却するダイナミックな運用に大変適しています。普段から静音かつ「そこそこの風量」を求める用途の場合は他の製品のほうがよいでしょう。この製品に低回転(1000~1200rpm)でもそこそこの風量があれば、これ一択になるくらいの製品だと思いますが、1200回転でこの風量はとても悲しいです。惜しい!

noctua NF-S12A

低回転でも風量があるタイプの製品です。音も静かです。ただし回転数をめいっぱいあげてもそれほどの風量はでません。そのほかはとてもバランスのよい製品です。

 

noctua NF-P12

 

1000回転以下では風量がたいへん少なくなります。1000回転以上の運用に適しています。音は静かなのですが、残念ながら共振ポイントがあり、振動が大きいです。noctuaを選ぶなら他の製品のほうがよいと思われます。

ARCTIC F12 PWM

 

 ARCTICのF8 PWMは非常に優れた製品でした。この製品も同じ特性(回転数に対して風量が非常に(驚くほど)大きい)をもっています。ただ、このF12 PWMは共振の問題を解決できていないようで、1200回転くらいで共振音がでます。測定ノイズ音が大きくみえますが、試聴上では数値ほど大きく感じられません。共振音さえなければ非常に優れた製品です。なお、1000回転以下で使用する場合は共振音がなくなるので、この運用範囲では最強だと思われます。(1000回転でもnoctua NF-12x25 1500rpmくらいの風量がでます)。

ARCTIC P12 PWM

 

1200回転の風量では最弱です。高回転では非常にうるさくなります。残念ながらおすすめできる点がない残念な製品です。

GELID Silent12 PWM

 

残念ながら論外の製品です。PWM製品を購入しパッケージにも製品ラベルにもPWMとあるのですが、回転数制御がまともにできていません。しかも数字以上にうるさく感じます。風量はでますが、この製品を選択するくらいなら、ARCTIC F12 PWMのほうがずっとよいです。

KazeFlex1200

 

とても珍しい逆回転タイプのファンです。たいへん静かで、風量もそこそこあります。ただ、900回転以下では急激に風量が弱くなります。バランスは大変よくオススメできる製品です。

というわけで結果発表

残念ながら12cm部門 PWM 静音ファン 頂上対決では「勝者なし」の結果となりました。ひっぱっておいて、この結果を申し訳なく思います。

動的制御や静音に寄るならnoctua NF-12x25」、風量に寄るならARCTIC F12 PWMバランスに寄るならKazeFlex1200」「noctua NF-S12A」といったところでしょうか。

とくに「noctua NF-12x25」は低回転(といっても1200回転程度)での風量改善ARCTIC F12 PWMは1200回転付近の共振音改善をすることができれば、今後「勝者」として認めましょう。(なんかえらそーに言ってみました)

 (追記)

PCの補助冷却用(ケース内エアーフロー改善用の内部独自設置)に[ARCTIC F12 PWM]をいくつか使用しはじめました。950回転~1100回転くらいで使用すると「非常によく」、気に入ってます。

あとから感じましたが、同回転数ではなく、「同風量」毎での静音性比較が実用的だと感じましたが、とても手間がかかるので今後の課題とします。

 

*1:「排気側」で密着させるほうほうだと、ファンの形状や回転方向によって、微妙に風がすりぬけるのか、製品の組み合わせて誤差が多いことがわかったため、誤差の少ない「吸気側」で測定しています。