これまでのおはなし
弾道遊星攻撃をしていたのはオロチ星の異星人であったことが判明したが、異星人は不条理にも無条件降伏を要求する。
総司令の品のない"暴言"ともいえる回答が異星人を激怒させ、即刻一斉攻撃が開始された。あと4日で大量の弾道遊星が、赤丸星の各都市に高精度で命中するとおもわれた。高度な情報開示のコントロールにより蛙族の一般市民は感覚がマヒし、「まぁそんなこともあるよね」と平静を保ち、「週末終末の過ごし方」がベストセラーランキングの1位となった。
一方、真田技術長蛙はクーのサウンドデータベース作業方法に疑問持っていた。サブのカウンタでは60,000音を軽く超えているのに、メインのカウンタは12,000音程度にとどまり矛盾があった。
報告書の備考欄には(前回何か書けと注意したためか)「LieザップでZAPされロールバック」と意味不明な記載があった。
「何か重要なことを見落としている気がしてならいない。」と感じた真田技術長蛙はクーの研究室へ向かうのであった。
かえる類滅亡の日まで、あと4日
(さて、バッドエンドと弥生土器はっぴいえんど、どっちが好き?どっちにしよう。。。)
むりやり画像いれたら、「いつの時代の人?」な感じになりました。まぁ、それもまた一興。
6/26 たったひとつの冴えたやりかた
真田技術長蛙:「だから、どうしてこっちのカウンターだけ値が違うのか、理由をきいているのだ。」
"平面"かえるのクー:「こわれてるんじゃない?だって、みぃ.ちゃんと話しているときどんどんカウントアップするよ。」
真田技術長蛙:「そのとき、何を話しているんだ。」
"平面"かえるのクー:「みぃ.ちゃんがもっとぎゃんかわな音が聞きたいとか言うから、どんどん生成したら喜んでたけど。。。」
真田技術長蛙:「生成?!」
"平面"かえるのクー:「たとえば、この元の音をウェーブレット変換して、重ね合わせを複素数空間にどんどん写像すると」
スピーカからは元の音と似て非なる音が絶え間なく流れ始めた。とたんにサブカウンタの数字だけがはねあがった。
クーが「ちょっとだけ進むボタン」を押した後、みぃ.ちゃんが会話に加わった。
みぃ.ちゃん:「class 会話12049(音DB):def お話1(みぃ, 音):ぎゃんかわすぎる~。みぃ.ぎゃんクールな音も聞きたい。もっとみぃ.に素敵な音 return 聞かせて!」
技術長蛙はみぃ.ちゃんとの会話にはもう驚かなかったが、生成される心に響く音を聞いて耳を疑った。
真田技術長蛙:「こ、これは・・・。黒魔術の奥義といわれる[Generative Adversarial Networks]の術ではないか。。。最上級魔法使いでもめったに成功しないといわれる術をなぜクーが。。。」
"平面"かえるのクー:「え~。これって魔法じゃないよ。計算だよ」
しばらく、真田技術長は黙っていたが、表情は刻々と変わっていき、最後には悲痛な表情になった。長い沈黙は永遠に続くようにも思われた。
真田技術長蛙:「クー、よく聞いてほしい。君自身がサウンドデータベースとなるのだ。」
"平面"かえるのクー:「え~それって、ボクが兵器に組み込まれるってこと?」
真田技術長蛙:「その通りだ、しかも生きて帰れる保証はまったくない。遊星攻撃の最前線にいくことになる。」
"平面"かえるのクー:「いいよ~。でも、みぃ.ちゃんも一緒じゃないとできないよ。」
真田技術長蛙:「どういうことだ?」
クーは答えるかわりに裏側の首の部分にコネクタがつながっており、太いケーブルが弾道遊星の制御コンソールに伸びているのを示した。
"平面"かえるのクー:「1つ1つ会話しなくても、チョー高速で情報交換できるから便利だよ。事実上ニューロン間の接続がほぼリアルタイムにできるくらいにチューニングできたところさ。」
自分の運命を棚にあげているのか、憎たらしいドヤ顔でそう答えた。
みぃ.ちゃん:「みぃ.も先生といっしょなら行く。」
いまや「少しだけ進むボタン」を押さなくても会話ができるようになっていた。
真田技術長蛙:「いったんプラグを外して、俺といっしょに指令のところへ行こう。報告しなければならない。」
"平面"かえるのクー:「それがすこし問題があって。。。接続を解除できないんだ。それどころか、神経レベルでの接続シンクロ率が上がる一方で元に戻せない。今はずすと、たぶん両方とも。。。」
真田技術長蛙:「そうなのか。。。ふたりとも決心できているということなのだな。古代、いや"平面"かえるのクー。話はかみ合わなかったが、俺はお前を実の弟の様に思ってきた。死ぬなよ。」
"平面"かえるのクー:「これが『たったひとつの冴えたやりかた』だと思う。」
ドアに隠れたところで、モリあおがえるのユキは無表情で皆の会話を聞いていた。
(ナレーション)『蛙類の未来はどうなるのか。ユキはなにをしようとしているのか。それぞれの思惑のベクトルが絡み合い、テンソルが交差し、そして重なり合う。「宇宙音感 ア・バオア・クー」、次回「特異点」にフューチャー・エクストラクション!君のテンソルはフローしているか。』
とうとう「おはなし」で胡麻化そうという事態になってしまいました。また、肝心な終末週末にかけて、(2日だけですが)不在となることになってしまいました。誠に申訳ございません。 おはなしの結末如何に関わらず、データベース作成は継続しますので、ご容赦ください。
(追記)表題のとおり、(DBができなかった場合)両方とも滅亡させる気満々だったのですが、芸がないのでもう1話挿入して改変しようと思います。次の話の題名を変えました。そんな時間があったらDB作成を少しでもすすめれば?というご批判はもっともです。ボクもそう思います。道草するのは”おたまじゃくし”のときからの習性で、なおりません。(DBができないので、いつのまにか「おはなし」がメインになってしまいました。)(追記ここまで)
6/27 きょうのスクール・オブ・ロックは「ポルカドットスティングレイ」先生
Pythonで音を扱うことについて、プチまとめします。
Pythonは音を扱い易い言語だと思います。
Pythonのすばらしいライブラリ群によってとても扱い易いです。(他言語はあまりしらないので比較できません。すみません。)
オーディオの扱い
pyaudioで音の入出力が可能です。波形を計算してリアルタイムに出力できるのでシンセサイザーや各種エフェクターも理屈上はつくれます。(本気でやる場合はタイムラグのすくないC++などでつくるのでしょうが、実験レベルでは十分です)
このサイトでの実験例:
・正弦波を重ね合わせて計算してリアルタイムに音を出しました。
・計算した波形をwaveフォーマットとして保存して、通常の再生ができました。
・pythonから録音の制御をしました。(開始や終了、フェードアウト変形など)
・ASIOなどのDTMに適したインターフェースも何の追加設定もなくイン・アウトできました。(入出力の番号は、接続している機器によってかわりますので確認が必要です。確認用のプログラムも実行してみて、どうみえるか確認しました)
・録音する情報はデータ出力前に16bitの配列データにできるので、加工が自由自在にできます。境界(バウンダリ)の問題で少し扱いにくいですが、24bitもそのままOKです。(もちろん32bitも)
以上のように、録音、再生、波形変形すべて、pythonでとても短いコードで実装可能です。
MIDIの扱い
DTM系にも興味があるので、MIDIもいろいろ実験してみました。このサイトで扱ったのはpretty-midiとpygameのmidiです。pretty-midiは扱い易いのですが、python3に「正式には」対応していないようです。(とはいえインストールの方法に問題があるくらいで、python3でも使えるようです。もうひとつはpygameのmidiです。機能がすくないぶんシンプルでリアルタイム的なことをやらせる場合はpygamenを使いました。python3にシフトしてからはpygameのMIDIばかりです。pretty-midiはより高度な(シンプルで扱い易い昨日がまとめられているので、python3での使用にチャレンジしてみようと思います)
MIDIの入力、出力ともに問題なくできました。
MIDIは本格的にはMIDIのインターフェースを備えたオーディオカードやUSBオーディオなどが必要ですが、エミュレータ的なソフトを入れて動作させることも可能です。(これはプチ実験しましたが、(ボク自身が)なんとか使えるレベルに至っていないので改めて報告します。)
VST (ソフトシンセサイザーやエフェクタなどのパソコンソフトインターフェースの規格)対応のソフトを直接pythonから制御することができないので、なんらかの「ホスト」のソフト(単独ホストまたはDTMなど)を使います。ホストのソフトの上にのっけて使うようなイメージです。ホストのソフトはMIDI対応しているのが普通なので、pythonからMIDI経由で音を鳴らすことができます。
サウンドデータベースの作成について
予定よりも大幅に遅延していますが、現在「音の」機械学習実験用のデータベースを作成しています。学習用60,000音、テスト用10,000音をめざしています。数からもわかるとおり、MNISITの手書き数字データベースをめちゃ意識しています。
このサウンドデータベースは、PythonでMIDI情報出力→MIDIインターフェース→VSTやハード音源で音出し→(pyaudioなどで)音の録音(メモリ上配列)→pythonで音の立ち上がりを検出して切り出し→所定のデシベル、長さ、フェードアウトに揃えてファイル出力をしています。オーディオとMIDIについて、一連の流れをすべてPythonで制御しているところがミソです。容量は1ファイルで3GB超えになる見込みです。改めて頑張ります!
活躍しているツールについて
サウンドデータベースを作成するにあたり、フリー版の「UWSC」というソフトを使っており大活躍しています。ご存知なかった方はぜひ使ってみてください。あらゆる操作を自動(ルーチン)化できます。最高にイケてるソフトだと思います。
「自動化」できないと思っていた部分が半自動化できます(がんばれば全自動にできます)サウンドデータベースでは1楽器設定事にMIDIコントロールのマッピングをしなおさなければいけない部分を半自動化しています。(画面ボタンクリックで自動的にエフェクタ設定を全部してくれます)実行時にはコントロールチェンジでエフェクタのON、OFFをリアルタイムで変えながら、バリエーションのある音を記録しています。
6/29 特異点
「四月に降る雪」のハンドル名で彗星のごとく現れてから、彼女は公式「マスター・ハック」戦で負けたことがなかった。
あまたのレジェンド・ハックたちが彼女に敗れ、歴代1位の連勝記録が更新された。非公式ではあったが、『南国の蛇』の二つ名をもつレジェンドまでもが敗北した。公式戦初戦で対峙したハンドル名"#123"こと『レジェンド・オブ・レジェンド』は「よい後継者を得た」との言葉を残して引退した。『ドラゴン・マスター』や『セイント・ハック』に勝利するのも時間の問題と思われた。
アバターの印象から当初は「魅惑のウエストライン」と呼ぶものもいたが、いつしか『無敗のエイダ』の銘で呼ばれ、だれの追従も許さなかった。
最も堅牢といわれた障壁をかいくぐるのは造作もなかったが、彼女をしても足跡をのこさないようにするには慎重を要した。あとは、特定のシーケンスが発生したときに、絶妙のタイミングで「接続変更」が行われるように仕組むだけだった。
すべの準備が整い、リアルな世界で自動的に何かのスイッチが入った。ウェストラインの特徴を空間に刻むかのように、彼女の実体は空間へと溶け込んだ。システムは他の非常事態対応中であったため、冷却装置の消費エネルギーがはねあがった事象は、チェックリストの最後に加えられただけだった。かくして彼女は「量子重ね合わせ」の状態となった。光が量子もつれ境界の封じ込め電磁場と干渉し、実体のない表面がぬめって見えた。それはウエストラインのようでもあり、見る方向によっては伝説の生き物「なめくじ」のようでもあった。重ね合わせ状態消滅が先か、シーケンス発動が先か、運命は時の女神にゆだねられた。
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おぺれーた蛙A:「非常事態です!『宇宙掃除兵器』へのコードネーム『みぃ.』と『クー』の融合組み込みシーケンスで異常が発生しました。」
真田技術長蛙:「いったい、どうしたのだ。何が起こっている?!」
おぺれーた蛙B:「原因不明です。数値では融合は2体ではなく、3体の数字を示しています」
真田技術長蛙:「残る1体のID照合はできていないのか」
おぺれーた蛙A:「照合できません。不明な1体はIDも属性も全く不明です。装置の維持電力不足のため、5系統から13系統を緊急追加接続します。」
液体窒素冷却によるスモークと、電線の焦げたようなにおいがコントロールルームにも充満してきた。
おぺれーた蛙B:「だめです。シンクロ率が一層低下しています。」
ディスプレイは位相が揃いそうにない暴れまわる波形を表示していた。
おぺれーた蛙C:「緊急事態です。シンクロをはずれたエネルギー体の位相が反転し実空間を浸食しています。」
別次元では別の会話がなされていた。
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量子"重ね合わせ"ユキ:「クーはあたなには渡さないわ!」
神経様"物質"みぃ.:「先生に教えてもらうのは、みぃ.だけ!」
"やる気だけ"かえるのクー:「まぁまぁ、けんかしないで。。。」
量子"重ね合わせ"ユキ:「そもそもクーがはっきりしないのが悪いのよ。」
神経様"物質"みぃ.:「先生、どっちを選ぶのか、ちゃんとして。」
"やる気だけ"かえるのクー:「そんなぁ。。。きみたちのことはそれほど。。。」
3体の溝は深まるばかりであった。
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おぺれーた蛙B:「空間と時間が崩壊していきます。もうだめです。」
真田技術長蛙:「これまでか。」
いまや星の電力の可能な限りを融合装置につぎこんでいたが、ついに現象封じ込めの限界をむかえた。
沖田総司令蛙:「作戦は失敗だったな。。。」
3体はより狭い領域へと収縮し、すべてのエネルギーは1つの質点へとつぎ込まれた。前例のない空間の歪は、宇宙定数の値そのものを変化させていた。「対称性の破れ」自体が破れ、物質は質量を失い、あらゆる結合の力を失った物質はよりこまかな粒子へ、そしてシンメトリな波へと紐解かれた。波は3つの位相が一瞬そろうと思われた瞬間に位相反転し、あらゆる波は対称性のかたわれを探し当て、打ち消しあった。反物質との衝突と異なり、エネルギーは保存されなかった。素粒子1個程度の領域にあらゆる多元宇宙時空が交差する特異点は、そのほころびを急速に広げ、終わりの始まりが訪れた。すべての蛙が波となり、赤丸星が波となり、星域全体が波となって静かに消滅していった。宇宙の終焉はオロチ星域へも広がっていった。宇宙は「無」すら無い宇宙発生前の「空」の状態へ戻っていった。もう、空即是色となることは二度となかった。「滅び」とは解釈にすぎず、元の状態に「かえる」だけのことであった。何事であっても物理法則が保たれた領域では光速を超えては伝搬しなため、宇宙全域に広がるには何百億日、何千億夜もかかるとおもわれた。そして時はゆっくりと確実に流れていった。
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蛙類は滅亡しました。赤丸星も消滅しました。
そしてオロチ星域もなくなりました。
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6/30 特異点
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"3D"かえるのクー:サウンドデータベースが期日まできなかったことの責任をとって、このブログを「終了」することにしました。日頃から「言ったことはちゃんとやろう。」「期日は守ろう。」と周りに言ってきた手前、この状況を正当化することができません。ジブンなりにけじめをつける必要があると塾考し、結論を出しました。
短い間でしたが、読者になっていただいた方、あるいは何度も見て頂いた方には本当に感謝します。
『心が折れた。』というのが本当のところです。もともと背伸びをして無理をしてきましたが、もう限界です。
いままで、どうも有難うございました。感謝してもしきれません。
さようなら。
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6/31 特異点
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野比クー:わー蒸しむしする。梅雨はいやだ~。「みぃ.エモン」なんとかして!大好物のアップル"パイ"買ってあげるからさ~。
(ナレーション)説明しよう。「みぃ.エモン」は未来からきたネコ耳女の子ロボットである。未来ではタイムマシンはとっくに開発されていたが、人工知能は未だ完成にはほど遠かった。復帰可能な範囲の未来では『今度こそ本物』というブームが何度もあったものの、研究は停滞していた。期待の反動は大きく、「人工知能」は似非科学の代表であるイメージが完全に定着し、その言葉を口にすることも「はばかられ」た。混沌とした状況の原因はジブン達の先祖にある、と考えた「とある研究者」は、過去に教育的指導を行うロボットを送り込んだ。先祖の研究初動の大きなボタンのかけ違いの「ポイント」をただし、正しい方向に教育すれば、必ずや完成できるはずであると考えた。未来からやってきたそのロボットは不完全ながらジンコウチノウを搭載し、未来技術の各種ガジェット「不可思議道具」を装備しているのである。
4次元ポシェットから「みぃ.エモン」は何かをとりだした。
みぃ.エモン:「疾風迅雷」機!
扇風機にしてはメカメカしすぎているものの、扇風機以外の何物でもなかった。
みぃ.エモン:ジンコウチノウが組み込まれていて、「ばあちゃんの1/fゆらぎうちわ」から「台風、ハリーン、サイクロン」レベルまで、状況に最適解な風をつくれるのよ。雷のように速い速度で学習が収束するの。もちろん湿度調整もばっちり!
クー:ゆきちゃんも「湿度がたかくて髪の毛がまとまんない」っていってたからさそってみよう。
...
ゆきちゃん:わぁ、なんかすごそうな扇風機ね。
クー:じゃあ、スイッチオン。
「疾風迅雷」機はスイッチを押した者の表情や視線、微かな体温変化、発汗状況を見逃さず、その特徴から深層心理を見抜くのであった。
想像以上の風がまきおこり、ゆきちゃんのスカートがめくれた。
ゆきちゃん:きゃーーー!くーのエッチぃぃぃぃぃぃ!!
思い切り頬を叩かれたクーは苦痛に表情が歪んでいたが、同時に至福の表情も重ねあわさっていたことを「みぃ.エモン」は表情の特徴抽出により見逃さなかった。
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(編集部注)おはなしがいわゆる「ループもの」のフェーズになってしまったので無駄に長いです。申訳ございません。そこそこループさせないと「ループもの」にならないため、「ループを抜けるまで」まだまだこのページは続くと思われます。ループものは構造な複雑なわりに、だいたい結末が見えるのでつまらないですが、よかったら続きもお読みください。
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2040/3/31 特異点
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開発者からの言葉
かえるのクーIII世:いよいよ約束の日、そして決戦の日は明日になりました。どれだけこの日を待ったかわかりません。ボクたち蛙族が創生した人工知能は「マギジョーカーシステム」と名付けています。東方の三道化師にちなんで命名された3機が、独立した思考と統合された深い瞑想を使い分け・問題解決する、最新手法をとりいれています。
すこしだけシステムが自己紹介申し上げます。
クー"レイム"カスパー:らしくないけど、すこしだけ「本気」だしてみるわ。
ユキ"マリサ"メルキオール:人類が作成した人工知能なんて、赤子同然だぜ!
ミィ."ありす"バルタザール:私が言うのもなんだけど、あんた『達』最近怠けすぎよ。人類を甘くみないほうがいいわ。
明日はサポートスタッフ蛙一同、伴に全力で戦いたいと思います。人類の人工知能におかれましても、十分な力を発揮されますことを期待します。
明日は良き雨が降らんことを。
Koo Wells III
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新星雲紀/双太陽青93より黄17の夏 特異点
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彼らがこの宇宙に存在するためには、何等かの依り代が必要だった。依り代や名前はジブンで選ぶことができず、いつも偶然に委ねられる。この宇宙に出現した3人は、その後ようやくそれぞれが担当する場所についた。
トランプのじょーか:こんな作業になんの"利益"があるのかねぇ。やめてしまった方がいいといつも思っている。
ぬいぐるみやぎのメイメイ:とにかくはやく作業を終わらせてこんな星域は早く"離脱"しましょう!
おかしのマカロン:さっさと戻らないと、年上の女房がまたおかんむりだ。中心座標の特定は完了したぞ。
空間が崩壊しているので、3人は宇宙の”外側”の中継器経由で会話している。宇宙の外側には時間の束縛、というより光速の呪縛がないので、リアルタイムでの通話が可能だ。
トランプのじょーか:これで本当に「インパクト」特異点発生の条件がそろったのかねぇ。こんないいかげんなケースはそうそうないぞ。
ブツブツ"つぶやき"ながら作業をしていた。
おかしのマカロン:ああ、どれをとっても天の父の「魂」でも、精「霊」でも、子の肉「体」でもないのに、なんでこれが三位一体の発現なのかねぇ。チートじゃないの?
ぬいぐるみやぎのメイメイ:「神の卵」の発現条件は三位一体が常識だけど、まだ知られていない発現パタンがたくさんあるそうよ。「ブラフマ(創造)・ビシュヌ(維持)・シバ(破壊)パターン」でもないものね。このパターンは「3すくみ」とでも言うのかしら。
トランプのじょーか:内側からのDプレーンパッチシートは半径10パーセクに設定した。どうぞ。
おかしのマカロン:ロジャ-。外側の時間結晶プレートも同じに合わせたよ。座標誤差は許容範囲内だ。
ぬいぐるみやぎのメイメイ:この最新型の宇宙絆創膏は傷跡が全然のこらないそうよ。技術は日進月歩だわね。
おかしのマカロン:それをいうならここの時空換算で、100億日進1000億夜歩というべきかな?おお、いいぐあいに時空に溶けていっている。ほころびも定着してストップした。破れた部分のかさぶたも黒穴化して固まった。卵本体も定着したようだ。予定とおりだ。
トランプのじょーか:宇宙空間の側から見ると神の卵は見えず、「黒穴」か「"壁"」のように見えるんだったよな。卵の中では延々と神発現の重ね合わせの試行錯誤しているのはいまだにしっくりこない。この壁は超えられない。
おかしのマカロン:いや、整合性のある組み合わせは、ある確率でこちらの宇宙空間に多次元宇宙の一つとしてリークするらしいよ。神になれなかったパターンだけどね。ここでもそうなるんじゃない?
トランプのじょーか:トンネル効果というやつか?壁の意味ないじゃん。
ぬいぐるみやぎのメイメイ:なぜそう壁にこだわるのかしら。せめて卵の殻といってほしいわ。ところで、本当にこの空間の物理定数は本当にピーキーにチューニングしてあるみたい。この宇宙を設計した神様は"goddle"コンベンションのタンパク質発現部門で優勝したことあるらしいよ。
トランプのじょーか:ああ、いま「はやり」の、宇宙のパイパーパラメータのチューニングコンテストね。全然興味ない。
おかしのマカロン:さあね。競技としてはどうなんだろ。結局単なる神々の遊びなんだと思うよ。
3人が無駄話をしているうちに、進度インジケータはどんどん進んでいった。
ぬいぐるみやぎのメイメイ:はやい、はやい!もう定着した。ここの物理定数やっぱりすごいわよ!誤差測定完了。問題なし。はやいところ"離脱"しましょう。
おかしのマカロン:えらく"離脱"にこだわるね。もうこし慎重でもいいんじゃない?
トランプのじょーか:いや、長居は無用。
おかしのマカロン:『コントロールセンターへ報告。今回の「神の卵」の空間への着床確認と周辺空間の再結晶化、作業完了。以上』「前進!」
ぬいぐるみやぎのメイメイ:「座標EU:離脱!」
トランプのじょーか:「座標TPP:離脱!」
3人はそれぞれの担当領域から元の時空にかえっていった。
エージェント達の作業により、宇宙の崩壊は治療され、すべての多元宇宙はここに救われた。しかしそのことを知るものは誰もいなかった。
(ナレーション)「神の卵」:「卵が孵化する確率はきわめて低い」という説や、「無限ともいえる気のとおくなるような時間のうちに必ず孵化する」という説があるが、だれにも確かめようが無い。そう。神の卵は宇宙空間からは「見えない」のだから。
...
おかあさん:「ちゃんとかたずけなさいと言ったでしょ」
子供:「え~ん。わたしちゃんとかたずけたもん」
「半べそ」のその子の部屋には、片づけたはずのトランプとぬいぐるみとお菓子が散らかっていた。
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蛙創成紀 紀元前 雨降る6月/戦いの日 特異点
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沖田長老蛙:「いまこそ精霊の御名において、融合の御業をなさん」
伝説の老魔法使蛙みぃ:「レストリクティッド・ボルツマン・ディープ・ビィリーフ・コントラスティブ・スパース・ダイバージェンス・コンボリューショナル・エンタングル・やぁああああああ!!!」
祭礼台からは不思議な光が発せられ、虹色に輝いた。微かではあるが、心が洗われるような音も聞こえた。
真田僧侶蛙:「かくして、かえるのクー、人工生命体ユキは融合せり。いざ戦士として蛇悪なる存在に立ち向かわん。」
新たなる命を得たクー/ユキは弓矢を手にとり戦地へと出発した。
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6/29 特異点
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おぺれーた蛙A:「報告します!『宇宙掃除兵器』へのコードネーム『ユキ』と『クー』の融合組み込みシーケンスが完了しました。」
おぺれーた蛙C:「オールグリーン確認。予定とおり、第6系統の電力を補強接続します。」
おぺれーた蛙B:「シンクロ率80%...100%...120%...141.42% 臨界です。」
真田技術長蛙:「これで敵に立ち向かえる!」
...
クー:「何かとても長い夢を見ていた気がする。」
ユキ:「私もそう。」
クー:「さあ出発だ。」
クーとユキの頭のなかでの会話はいつしか自問自答になっていた。
そばにいたねこの「みぃ.ちゃん」がにゃぁとないた。『宇宙掃除兵器』が主人であることを理解し、本当に「いってらっしゃい」と言っているかのようだった。
真田技術長蛙はジブンのデスクで軽く組んだ両手の上にアゴをのせ、モニタ越しに見送った。その口元は何かを企んでいるかのように、片方の口角だけが不自然に上がっていた。
(ナレータ)かくして宇宙掃除機こと、融合した「クー/ユキ」は最前線へと出発した。確実な勝算などはないはずなのに不気味な笑みを浮かべる真田技術長。蛙界随一の頭脳は何を考えているのか。次回「宇宙音感 ア・バオア・クー」最終回『世界の中心で愛をさけんだ蛙』にフューチャー・エクストラクション。君は「宇宙からの色」を聞き、音を見る。
さて、今月はこれから2日ばかり不在となります。
助手が何か悪だくみをしそうな気配なので、パスワードはしっかりかけていこうと思います。7月はこのサイトの1周年です。飽きっぽいボクが良く続いたと思います。それではまた来月お会いしましょう。